人を助けて我が身たすかる

 『すきっと』第十号の企画で対談した石蔵文信氏は、不定愁訴や不安障害などに悩む中高年男性のために「男性更年期外来」を立ち上げ、治療に当たっているというユニークな医師である。
 氏の発言の中に「六十過ぎの方でちょっと体調の悪い方にお仕事に行きなさいよ、人のお助けをしに行きなさいよとよく言うんです。自分が病気でも、もっと体調の悪い人を世話してあげようという気持ちが出ると、どんどん健康になっていく」という一節がある。医者としての体験を通しての実感なのであろう。
 筆者は「天理教では、人を助けて我が身たすかると教えられています」と応じたが、石蔵氏の言は、「人を助けて我が身たすかる」という教えの、広く深い含蓄の一端を示す例のように思う(上田嘉太郎『お道の視点から』天理教道友社、2010年、p.218)。


*各種の自助グループにおいても、やはり「人を助けて我が身たすかる」というメカニズムが働いているのでしょう。私だって、SNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)であるmixiのコミュニティに参加しなければ、1回目のトライだけでタバコを「卒業」するのは難しかったと思います。