『1Q84』における女性嫌悪

 現在放映中のヘアカラー(ダリヤ社)のテレビCMにおけるキャッチフレーズは、「パパである前に男であれ!」です。しかし、現代日本では「ママである前に女であれ!」とはまだおおっぴらには言えないと思います。
 もはや社会現象と化した村上春樹さんの大ベストセラー『1Q84』では、男性主人公「天吾」の母親は、夫がいながら赤ん坊の天吾を連れて別の男と駆け落ちして、眠っている天吾の傍らでその男とセックスしていたが、その男に絞め殺されてしまったと設定されています。「母である前に女であろうとした」女性を簡単に殺してしまうところに、「フェミニズムに理解がある」つもりでいる村上春樹さんの「無意識の女性嫌悪」を見ることができると思います。