「友愛」という言葉について

 鳩山由紀夫氏の「友愛」というキャッチフレーズについて愚考してみて、おそらく江戸時代以来、基本的に「場と序列によって人間が位置づけられる」「タテ社会」(中根千枝)であった日本社会においては、市民の「横の連帯(solidarity)」を表現するボキャブラリーが貧困なのだと痛感しました。保守派の好きな「絆の再生」という表現の<絆>という日本語についての違和感については、以前にも書いておきました。「絆の再生」という言葉を回避している点では、私は鳩山氏を評価します。

http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20080228

 上野千鶴子さん流に言えば、「地縁・血縁・社縁」の再生ではなく、「選択縁」の強化を、ということでしょう。ただし、私は「地縁・血縁・社縁」のような「タテ社会の人間関係」を全否定するつもりはありません(もちろん、上野さんが全否定しているということではありません)。要は、「タテの人間関係とヨコの人間関係のほどよいバランスを追求しよう」ということです。