「和」による近代立憲主義の否定

 米国は独立戦争を経て、対立構造の中から憲法が制定されたことから、憲法が政府を縛る意味が強いのはたしかです。しかし、日本は国の成り立ちが違います。「十七条の憲法」、あるいは「五箇条の御誓文」のように、日本は「和」を中心とした国です。国民と国に対立構造があるのではなく、お互いに助け合う精神から国をつくり上げてきました。憲法を考えるときには、その国の歴史をふまえて、もっと全体的に見るべきです(桜井よしこ「9条の理想だけでは1億2千万人の日本人を守れません」『緊急復刊 朝日ジャーナル朝日新聞出版、2016年、p47)。


*「和」の伝統を持ち出すことで近代立憲主義を否定するという保守派のロジックがよく現れています。