グルとしてのセロニアス・モンク

(前略)インドでしばらく生活したことのあるソニー(熊田註;ソニー・ロリンズ)は、彼(熊田註;セロニアス・モンク)を「グル」と呼んだ。そしてこの呼び名の方がおそらく、「教師」よりは意味あいが正確だろう。というのは、彼は指導者(インストラクター)というよりはむしろ案内役(ガイド)に近かったからだ。彼はガイドとして、相手が自らの内から最も優れた資質を引き出すのを助けてくれる(オリン・キュープニーズ「セロニアスが教えてくれたこと」村上春樹(編・訳)『セロニアス・モンクのいた風景』新潮社、2014年、p228)。


*的確な音楽家評だと思います。こういう文章を選んでくることができるのに、どうして小説となると「都市生活者の知的意匠」のようなものばかり書くのか、不思議です。