やなせたかし氏と「男らしさ」

「子どもは、子どもらしくしなさい」「もっと男らしくしないと、女にはモテないぞ」「もっと女らしく振る舞いなさい」・・・・・・。
 僕は、この“らしく”という言葉が好きじゃない。“らしく”というのは、そのものにふさわしい特質を備えているかどうか、ってことでしょうが、人間、人それぞれなのですから、別に“らしく”ある必要はないと思うのです(やなせたかし『絶望の隣は希望です!』小学館、2011年、pp.199-200)。


やなせたかし氏(1919-2013)のこうしたリベラルな発想は、1.大正デモクラシーの時代に自己形成したという時代的背景、2.リベラルで知識人だった開業医の養父に育てられた家庭環境、3.自由主義の校風(東京高等工芸学校)の中で青春を過ごしたこと、4.「とても軟弱」という若い頃の気質、などからきているのでしょう。