「本当の強姦」なら妊娠しない?

http://digital.asahi.com/articles/TKY201208210434.html より転載
「『本当の強姦』なら妊娠しない」 米共和党議員が発言


 「強姦(ごうかん)なら妊娠しない」。いかなる妊娠中絶にも反対する理屈として米共和党議員がこう発言し、猛烈な批判を浴びている。オバマ大統領はすかさず批判。反妊娠中絶派の多い共和党陣営も、大統領選を前に女性の離反を招かないよう火消しに躍起だ。
 上院選に立候補予定のトッド・エイキン下院議員(65)が米テレビで19日、強姦され妊娠した場合でも中絶に反対するか問われ、「医師から聞いて理解するところでは、(強姦妊娠は)非常にまれだ。『本当の強姦』なら女性の体はまるごと拒絶する」と答えた。
 非科学的で被害者への配慮もない発言だとして批判が巻き起こり、オバマ氏は20日、「強姦は強姦だ。分類するなど理解できない」と記者会見で断じた。
 キリスト教右派の価値観に基づき、保守派の一部はいかなる中絶も認めないと主張、米ギャラップ社の今年の全米調査でその割合は20%に上る。共和党の副大統領候補に内定のライアン氏もその一人で、強姦などによる妊娠中絶費用の政府補助金削減法案をエイキン氏らと昨年提出した。
 それだけに、エイキン氏の発言がライアン氏らと結びつくと大統領選に影響しかねない。共和党大統領候補に内定のロムニー氏は女性支持率がかねて低く、ABCとワシントン・ポスト紙の5月の世論調査では41%と、オバマ氏の52%より低い。ロムニー氏はライアン氏と「強姦の場合の中絶には反対しない」と声明を出すに至り、共和党議員らはエイキン氏の立候補辞退を求めた。当のエイキン氏は20日、ラジオ番組で「本当の強姦」について謝罪したが、立候補はやめないとしている。(ロサンゼルス=藤えりか)


*愛がなければ妊娠しない?