太宰治とキリスト教

 佐古純一郎「太宰治の文學」(朝文社、1992年)を読了しました。牧師兼文芸評論家の著者が、「聖書を基本的には福音ではなく律法として理解した」太宰治の文学とキリスト教の緊密な関係を、講演形式で門外漢にもわかりやすく解説した好著です。問題は、なぜ太宰が聖書を律法としてしか理解できなかったか、ですが、関係が希薄だった「恐ろしい父」のイメージを神に投影していたからでしょう。