文系の大学院生

 評論家の西部邁さんがどこかで書いていたけれども、文系の大学院に進学する人間の7割は、人とまともに挨拶できないような、昔なら分裂気質と言われるような人たちで、その少し歪んだ気質を利用してひたすら細かい研究をしていれば、35才くらいまではそれなりのアウト・プットが出てくるが、35才を過ぎると歪みは歪みでしかなかったことがはっきりするだけ、という話です。西部さんに人のことが言えるのかな、とは思いますが、私の経験でも、7割という条件付きで、確かにその通りです。西部さんの時代と比べて、文科省が推進した、大学院生の進路など考えていなかった大学院大学重点化構想のせいで、大学のポストの獲得はとても厳しくなっており、そういうタイプの人たちは高学歴ワーキングプア(非常勤講師という名の不安定雇用者)になって、やがては学会から消えていくのが今の厳しい現実ですが。