西原理恵子「無知と貧困の連鎖」を語る

西原 親父がアル中で家が荒れている子どもには、チャンスも知識もないんですよ。大人になったときにも、チャンスも知識もない女は、誰かに頼らないといけないんです。自活して生活できる女になるなんて、それはそういう立派なモデルを知らないとできない。私の田舎の女の子なんて、みんなそういう存在を知りませんでしたからね。目標になる女性がいないんですもの。みんな歌手とか女優になろうなんて誰もいわない。「看護婦さんになります」「保母さんになります」っていうのが精一杯の夢。イメージできるモデルタイプとしてはそれが限界なんですね。ほとんどの女性が結婚して相手にどうにかしてもらおうと思っている。それが一般常識になると、自分に力がない女性だと、相手の男がどんどん下がっていく。別れれば別れるほど、次の相手はどんどんランクが落ちて、もう二〇歳で一生後悔しているような女ばっかりでしたよ。
月乃 想像力って大切ですよね。
西原 飲酒で壊れるのも、男に依存するのも、つまり無知と貧困の連鎖だと思います。そこはね、なんとかしないとね(西原理恵子吾妻ひでお『実録!あるこーる白書』徳間書店、2013年、p218)。


*実感に裏付けられた重い意見だと思います。