男性の自傷

 それから、自傷するのは女性だけではありません。意外に思うかもしれませんが、女性よりは少ないですが、男性でも切っている人はいます。女性よりも少ないのは、男性が自傷する場合には、「皮膚を切る」よりも、「こぶしで壁を殴る」とか、「固い家具に身体をぶつける」「壁に頭をぶつける」といった方法を好む傾向があるからです。この方法だと、ちょっと自傷って気づきにくいですね。どちらかというと「自傷」よりも「自分に対する暴力」という印象を持つ人もいるでしょう(松本俊彦『自分を傷つけずにはいられないー自傷から回復するためのヒントー』講談社、2015年、p5)。


自傷ジェンダー差についての貴重な指摘です。松本俊彦さんのこの本は、自傷当事者および支援者のために書かれたとてもよい本です。男たちが「殴り合う同好会」を立ち上げる、映画『ファイト・クラブ』が思い起こされます。