発達障碍の前景化ー佐世保市女子高校生殺人事件を考えるー

 発達障碍者の両親のいずれかに左脳の前額部に邪気がありますので(熊田註;これはあくまで神田橋氏個人の見解)、ボクは発達障碍は遺伝的な資質があるのだと思っています。しかし、親御さんは社会生活を何とかやれているし、家庭を営んでいますから、付加的な因子があるはずです。
 付加因子の一つは幼児期の遊びにあると推察します。発達障碍者へのスキルトレーニングとして行われているプログラムのなかに、昔の遊びに類似したものがあるからです。昔の子どもたちは遊びの中でソシアルスキルトレーニングをし、脳の発育に役立てていたのだと思います。思い返すと子ども時代のボクは、集団の遊びになじみにくく、それでも頑張ってついていったのでした。人並みのことができないのに、勉強が別格だったので、味噌っ滓として受け入れてもらえ、苛められなかったのが幸いだったと思います(神田橋條治『技を育む』中山書店、2011年、p123)。


*少し「自閉症スペクトラム」の傾向があると自覚している私には、いかにもありそうな話に思えます。佐世保市女子高校生殺人事件を考える上でも、示唆的な見解です。子猫だって、親兄弟と十分に遊ばせてから引き取らないと、「噛み加減」のわからない成猫になってしまいます。