故郷喪失者

(前略)僕は<わが家>を去った、しかもたえず<わが家>に宛てて手紙を書かなければならない、たとえわが家といいうものがとうの昔に永遠の彼方に流れ去ってしまったはずだとしても。この書くという営みのすべては、孤島の絶頂に掲げられたロビンソンの旗以外のなにものでもない(フランツ・カフカ『夢・アフォリズム・詩』平凡社ライブラリー、1996年(初出1922年)、p346)。


*約100年経って、グローバル化の急激な進行のなかで、われわれはみなユダヤ人だったカフカのような「故郷喪失者」になりつつあるのかもしれません。