<兜甲児>から<碇シンジ>へ

 「巨大ロボットアニメ」のルーツである『マジンガーZ』の少年パイロットの名前は、<兜甲児>と、それこそ男性学でいう「鎧理論」を地でいくような命名でした。しかし、「テーマはアダルトチルドレン」という『新世紀エヴァンゲリオン』になると、主人公の少年パイロットの名前は<碇シンジ>、少女パイロット二人の名前は<綾波レイ>と<惣流・ラングレー・アスカ>であり、「碇/波/流」と、全員の名前が「水」にちなんだものになっています。庵野秀明監督が意識していたかどうかはわかりませんが、「液状化するポストモダン」(バウマン)状況を反映した命名ともとれます。アダルトチルドレン現象は、社会の「個人化」が進行し、同時に「親密性」規範が強化された(「共依存」が病理化された)ポストモダン状況において生じるものなのでしょう。