お詫びと訂正

私のブログ記事について、訂正の上、お詫び申し上げたいことがあります。

 3月18日付けの記事で、「天理教教祖は強い父の夢を見たか?―日本の宗教界と宗教学の共犯関係―」という文章をアップしていました(すでに削除しています)。その中で、植田義弘さんの「ハンセン病と教祖」というネット記事を引用していましたが、この記事に書かれている内容は、間違いでした。

 植田さん(天理教信者)がウソをついたのではなく、植田さんが引用している書物「中居屋重兵衛とらい」の著者である小林茂信さん(非信者・医学博士)がウソをついたのでもありません。小林さんが、「中居屋重兵衛とらい」を執筆するにあたって典拠とした史料「中山文書」自体が、多くの専門の歴史学者さえ騙されてきた、中山信夫という人物の手になる「壮大な偽作の体系」なのです。この間の事情については、松本健一さんの力作「真贋―中居屋重兵衛のまぼろし」(幻冬舎アウトロー文庫、1998年)に詳しいです。この本の存在は、天理大学おやさと研究所の金子珠理さんにご教示いただきました。金子さんには深く感謝しています。
 アマチュア研究者である小林さんや植田さんが騙されたのは無理もありませんが、専門の研究者である私が、一次史料を検討もせずに騙されていたのは、赤面の至りです。訂正の上、みなさまに深くお詫び申し上げます。