精神医療

ボーダーラインシフト

*ボーダーラインシフト(市橋秀夫) 1.なにかしてあげてはならない。 2.医師の指示以外のことを行ってはならない。 3.話を聞いてあげてもよいが、患者に入れあげない。 4.他のスタッフに対する批判を真に受けない。患者の話を真に受けない。自分に…

薬物療法と精神療法

しかし、残念ながら、薬物療法だけでは心の病気を完全に治すことはできません。脳内の神経伝達物質の働きを調整することで、一定の効果は期待できますが、それはある意味で「対症療法」的な効果でしかありません。また、心の病気では、患者さんの物の考え方…

酒に見放される

最近、動悸・息切れがします。おそらく、アルコール性心筋症です。原因であるアルコールを絶てば、簡単に治ります。中井久夫さんが、「酒に見放される」ことについて書いていましたが、どうやら私も酒に見放されたようです。命が惜しいので、断酒します。

人間の精神衛生維持活動

人間の精神衛生維持活動は、意外に平凡かつ単純であって、男女によって順位こそ異なるが、雑談、買物、酒、タバコが四大ストレス解消法である。しかし、それでよい。何でも話せる友人が一人いるかいないかが、実際上、精神病発病時においてその人の予後を決…

DVとパニック障害

まず第一に問題になるのが夫婦の問題です。これは当事者がストレスと意識していないケースがしばしばあります。妻が夫に気づかれないうちに、精神的に束縛されてしまっているケースです。パニック障害になう人は、元来やさしく、自分の気持ちに反しても相手…

パニック障害と人間性回復としての離婚

「病気はよくなったが患者は離婚した」というと、一見、治療がまずいのではないかと思われる恐れがあります。しかし、表面的にどう見えようと、自己に目覚めさせる、自分の人生の価値を高めさせる、これが精神医学の究極の治療目標だと考えればよいかなと思…

「訊く」より「聞く」

「訊く」より「聞く」。 本人の話に耳を傾けて 「なぜ、リストカットをするのか」と問いただしても、本人には答えることができません。本人がその理由を考え、言葉にできるようになるまで、周囲の人は本人の言葉に耳を傾けましょう。 話すことも聞くことも最…

犯人捜しは意味がない!

どんな要因が考えられるとしても、「親が悪い」「社会が悪い」と犯人捜しをしても、後ろ向きの議論になるだけで、よい結果は得られません。 課題は、本人も周りの人も、いまの苦しい状況を脱して、より穏やかな生活を送られようになることです(林直樹(監修…

境界性パーソナリティ障害と親子関係の整理

こうして新たなステップとして、現在起きている問題を、過去に体験してきたことにつなぎ直し、再統合する作業の段階を迎えるのである。その中心となり鍵を握るのは、親子関係の問題であることが多い。境界性パーソナリティ障害の人は、必ずといっていいほど…

境界性パーソナリティ障害

先にも述べたように、境界性パーソナリティ障害は、永久に続く固定した性格ではない。多くは思春期から青年期、成人早期(ときには、三十代になって)に始まる嵐のような感情と行動の失調状態である。だが、止まない嵐はない。通常は、数年で、嵐は収束に向…

心理治療と傲慢

(前略)心理療法者に通じるものとして挙げられるのは、何と虚無僧であり、辻音楽師である。逆に治療者がもっとも戒めるべきことは、傲慢(ヒュブリス)である。「まず害するなかれ」が、すべての治療と同じく、心理治療の基本であるのに、治療者の傲慢がい…

身体化という防衛機制

(前略)西欧人が腹部には特に注意を向けないのを教わったのはこの本(熊田註;大貫恵美子『日本人の病気観ー象徴人類学的考察』)で、本が出てから土居健郎先生とお会いしたときに話題にすると、さすが即座に「彼等は身体は精神に比べて悪魔に近いと観念し…

病気と治療の政治学

これが仮病ではなく心身症、つまりからだが悶え叫んでいるのはおわかりかと思います。医者のなかにはこれを「疾病利得」といって毛嫌いする人もいますが、「疾病利得と正面からたたかって勝ち目はない」と断言しよいと思います。 「せっかく(原文は強調)病…

看護師と患者の回復

驚くべき病的体験、たとえば世界が粉々に分解するというような、まだ誰も報告していない現象を話してくれる患者がいたとします。その彼が友だちと映画を観に行ったり、ベースボールをしたり、喫茶店に行ったりしたことを、私は驚くべき病的体験の話よりも膝…

拒食症の「治療」論争と中島みゆき

かつて、拒食症は、「女になるための病」だといわれたことがありました。「成熟拒否」、「男子羨望」という言葉も用いられていました。(中略)このため、拒食症が「治る」ということは、いったん拒絶された「女性性」を肯定することであり、それゆえにその…

牢名主・DV・虐待

「牢名主」はアルコール依存症の人が多いようにみえます。アルコール依存症の人の多くは病院の催しもので活躍したがるのですが、私は彼らを絶対にヒラにしてきました。彼らにはヒラを体験することが重要な治療的体験です。病院で権力をふるわせること(奉仕…

昭和天皇の風呂嫌い

みなさんのところの患者さんはお風呂でリラックスしますか。緊張が続いている人は、患者であろうとなかろうと、風呂が嫌いな人がけっこう多いです。いちばん典型的なのは、病人とはいえないけれど、他ならぬ昭和天皇です。風邪をひいて二週間風呂に入らなく…

生きるリアリティ

別にそういったボランティアに限らなくてもいいですけれども、実際に自分が役に立つようなことならばやりたいと思っている青年と、リストカットをする、あるいは無差別殺人をする青年というものは、同じものを求めているわけです。つまり、それは生きること…

ミニトラウマの処理方法

古式カタルシス「護摩たき療法」 護摩たきとは、煩悩をあらわす護摩木を焼くことで、心の迷いを焼き尽くすことです。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の人は、まず、心的外傷(トラウマ)となったできごとを、できるだけくわしく紙に書き出します。この作業は…

非定型うつ病の信仰治療についてー禅宗の事例からー

ここ一週間、一日三時間瞑想して、昨夜ようやく第三の目が開眼しました。実を言うと、一週間前、“騙されたと思って一日中坐禅をしよう。それで三月になっても完治しなければ命を絶とう”と決心していたのです。先週は、過食、過眠、全身の重さで寝たきりにな…

死の実感の喪失

「死の実感の喪失は、自分の命は永遠であるという幻想をもたらす。その幻想の中で、人は死に対する激しい恐怖にとらわれる。かくいう私も、死ぬことが ずっと怖かった。考えはじめると、叫びたいほどだった。しかしタヒチで獣の死骸を日常的に目にするように…

治療者の変性意識状態

現代の精神療法はこのような個人的・偶発的な経験をなるべく廃し、一定の技法を用い、一定の効果を得られるような方向に向かいつつある。その結果、精神と精神の相互交流から生じるクライエントの精神への働きかけから離れて、クライエントの行動へ働きかけ…

禅とマインドフルネス

http://www.chugainippoh.co.jp/rensai/shinsou/20151028-003.html どう受容するのか仏教界 マインドフルネス流行の兆し(3/5ページ) 2015年10月28日付 中外日報(深層ワイド) だが、心理療法としてのマインドフルネスは無宗教だが、それを入り口として禅…

マインドフルネスと禅

http://www.fuanclinic.com/blog/?p=181 マインドフルネス 「マインドフルネス」をご存じですか? 聞きなれない言葉ですね。正確にはマインドフルネスストレス低減法といって心理学的治療の一つです。今米国の多くの心理学教室にはマインドフルネスセンター…

花園大学の試みー座禅とカウンセリングー

http://www.pot.co.jp/oikenparis/%E5%9D%90%E7%A6%85%EF%BC%88%E3%81%96%E3%81%9C%E3%82%93%EF%BC%89%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81.html 坐禅(ざぜん)のすすめ 〜自然治癒力で心身を癒す〜 大学でも坐禅の効能に目をつけたところがある。2006…

マインドフルネスと参禅会

少なくとも日本の場合、今からマインドフルネスの指導能力を持った認知行動療法の専門家を養成して増員していくよりも、禅僧に精神医学の基礎知識を身につけてもらい、参禅会を開いてもらうことのほうが、よほど国民のメンタルヘルスに役立つように思います。

我流の座禅の危険性

http://www.geocities.jp/gurakuan_acupuncture/disease090612stress.htm 「うつ病」になってしまった時、または、なりそうな時に読むページ とにかく、頭を使わない。考えない。脳みそに、考える時間を与えない。頭を空っぽにしましょう。 「頭を空っぽに」…

非定型うつ病と瞑想

非定型うつ病の人は、感情の浮き沈みに振り回されがちです。 瞑想は、まず体の緊張をとくことによって心の緊張もとき、「今ここでのありのまま」の自分の感情や感覚に気づくことからスタートします。自分の感情と行動の関係や、自分と周囲との関係を客観視す…

女性のアルコール依存症

女性ホルモンには、アルコールの分解を阻害する作用もあるので、少量飲んだだけでもアルコールの血中濃度が高くなります。女性は体質的にアルコール依存になりやすい素因をもっているので、男性の2倍の速さで依存症になるといわれています。 そのうえ、女性…

居場所とは

「居場所とは、ひとりでいてもさみしくない場所のことである」(二村ヒトシ『すべてはモテるためである』ロングセラーズ、1998年→上野千鶴子『男おひとりさま道』文春文庫、2012年(初出2009年)、p124)。 *けだし名言だと思います。